紛争の内容
Aさんは、結婚当初から夫であるBから日常的に精神的虐待を受けており、Bとの同居生活に耐えかねて、結婚して約3か月後に別居することを決断しました。
別居後AさんはBとの間で離婚に向けた話し合いをしようとするも、なかなか離婚に応じてくれないことから、自身での対応が困難と感じ弊所に相談・依頼されました。
交渉・調停・訴訟等の経過
協議及び調停でもBは一貫して「離婚するつもりはない」との意向であったため、離婚調停は2回目で不成立となりました。
Aさんは、Bと離婚するためであれば訴訟提起も辞さないという意向であったため、引き続き弊所にて離婚訴訟を担当することとなりました。
本事案では、別居してから訴訟提起するまでの期間が約1年と比較的短い別居期間でありましたが、精神的虐待の事実やAさんの強い離婚意思といった事情もあり、Bが離婚原因の存在そのものを争う可能性もあったものの、離婚訴訟を提起しました。
本事例の結末
Bは、離婚訴訟の中でも、当初離婚の意思はない旨主張しましたが、双方書面でもって離婚事由の有無について主張した後、B側が慰謝料200万円を払ってくれるのであれば離婚に応じる、などと和解の可能性を示唆するようになりました。
Aさんは、離婚原因はむしろBによるものであり、慰謝料の支払いには抵抗をもっていたものの、Aさんの方がBよりも収入が多かったため、婚姻関係を続ければむしろ婚姻費用を請求される可能性や、離婚判決を得たとしても控訴される可能性なども考慮し、当初のBの提案から大幅に減額した30万円を「慰謝料」ではなく「解決金」として支払をすることで和解に応じることを再提案しました。
AさんとBの主張額には大きな差がありましたが、裁判官を通じてBも大幅な譲歩をし、結局Aさんの再提案のとおりで、裁判上の和解により離婚が成立しました。
本事例に学ぶこと
自分の非を認めずなかなか離婚に応じれくれない配偶者の場合、離婚に向けた話し合いが難航する可能性が高いです。
ご自身での対応が難しいのであれば、早めの段階で弁護士に依頼し、離婚調停・離婚訴訟のステップを踏みこちらの本気度を伝えることで、配偶者の意識が変わり、裁判上の和解により離婚が成立するケースもあると感じました。
「離婚に向けた話し合いが進まない」、「夫からの暴力等に悩んでおり早く離婚したい」などのお悩みを抱えている方は、一度弊所弁護士にご相談ください。
弁護士 相川 一 ゑ
弁護士 安田 伸一朗