紛争の内容
依頼者の方は、離婚をしたいということで相談にきました。

配偶者に離婚をしたいと伝えて話し合いをしましたが、配偶者が離婚に納得しなかったため弁護士を代理人として離婚をすることのご依頼いただきました。

配偶者に不貞行為があったなど明確な離婚事由がなく、どのようなことを理由として離婚事由に該当すると主張するかが問題となりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
すでに当事者間の話合いが決裂していたため、離婚調停を申し立てることになりました。

離婚訴訟の提起をするためには、離婚調停を行っている必要があります。離婚をするためには、交渉(協議)→調停→訴訟という段階を経ていくところ、訴訟をするためには調停を提起しておく必要があります。

調停を申し立てましたが、相手方は、離婚に一切応じないという強固な意志をお持ちでした。                                                                                                                                             

離婚条件がいかなるものであっても、一切離婚には応じないという回答でしたので、離婚調停は不成立となり、やむを得ず訴訟を提起するに至りました。

離婚訴訟で「離婚せよ」という判決がでるためには離婚事由が必要です。

本件は、不貞行為や明確なDVなどがあったわけではなく、離婚事由としてどのようなものを主張するか検討をする必要がありました。

結論として、別居期間が婚姻期間よりも長いということを理由として離婚事由にあたると主張することとしました。

本事例の結末
訴訟を進めた結果、最終的に離婚をするという内容の和解をし、無事に離婚が成立しました。

訴訟では、双方が主張を行いますが、最後まで相手方からは離婚に応じるという回答が得られなかったため、当事者の尋問を行いました。

尋問は、訴訟の最終段階で行われますが、尋問終了後に裁判官から「別居期間の主張などから、離婚をせよという判決を書くことが見込まれる(依頼者の全面的勝訴判決)。ただ、その場合は相手方からの控訴が見込まれるため、和解を行うことはできないか」という提案がありました。

こちらの勝訴判決で判決を下すことを裁判官は考えているようでしたが、その場合、判決のあとに相手方が「控訴」をすることが見込まれました。控訴が行われると、高等裁判所に事件が係属し、離婚成立に至るまでさらに長い期間がかかります。

依頼者は一刻も早く離婚したいというお考えであったため、早期解決を図るために、最終的に25万円の和解金を依頼者が用意し、今後離婚に関する一切の紛争をしないという内容の和解が成立し、離婚をすることができました。

本事例に学ぶこと
当事者同士で離婚の協議を行うことは非常に難しく、合意に至らないことが数多くあります。

話し合いが決裂した場合、裁判所を利用して調停を行い、それでもうまくいかない場合には訴訟を行うことになり、法的な主張をする必要があります。

当事者同士の話し合いではなく裁判で離婚判決がでるためのハードルは高く、法的な主張を整えて主張をすることが非常に重要です。

離婚をするかどうかで折り合いがつかない場合、弁護士を代理人として介入させて交渉や調停、訴訟を行うことが考えられます。

離婚問題でお悩みの方は、ぜひ一度弁護士へご相談ください。

弁護士 遠藤 吏恭