?紛争の内容
ご依頼者のご希望は,夫と別れて,夫名義の住宅に子と一緒に住み続けることでした。
住宅にはローンは残っておりませんでしたが,夫の債権者からの仮差押えを受けていることや,夫名義になっていることなど,いくつかのハードルがありました。
?交渉・調停・訴訟などの経過
住宅は夫の債権者からの仮差押えを受けておりました。なお,仮差押えとは,債務者の財産隠しを防ぎ,将来の強制執行を確保する手段として,通常訴訟提起前に行われます。
相談を受けた段階では,夫により住宅が任意売却されるおそれがありました。
そこで,直ちに夫及び夫の債権者との間で,示談交渉を開始することにしました。
?本事案の結末
離婚については,夫にご来所いただき,ご依頼者の要望をご説明しました。
当初,夫は難色を示しましたが,メリット・デメリットを丁寧に説明すると理解を示しました。
交渉の結果,離婚に伴う財産分与については,住宅を妻に譲ることを条件として,協議離婚が成立しました。
一方で住宅に対する仮差押債権者との関係では,夫には返済するだけの資産はありません。そこで,ご依頼者が債権者に対する弁済金を工面し,債権者に対して第三者弁済を行い,仮差押えを取り下げてもらいました。そして,ご依頼者は,夫に対して,夫の代わりに支払ったお金を返してもらう権利がありますので,分割払いとする公正証書を作成し,夫に返済してもらうことを約束してもらいました。
このように,ご依頼者は,短期間のうちに当初の希望どおり住宅を残すことに成功し,離婚も無事に成立しましたので,新たな生活を手に入れることができました。
?本事案に学ぶこと
当事務所の離婚専門チームの弁護士は,迅速性と柔軟性を重視し,積極的に示談交渉(※調停や訴訟とは異なり,弁護士が相手方と直接交渉をすること)を行っております。示談交渉は話合いですので,相手方から明確に拒絶されればそれまでですが,必ず落としどころがありますので,安易に交渉を諦める必要はないと考えます。
本事案は,弁護士の交渉が功を奏し,ご依頼者の希望どおりの離婚が成立した事案です。