?紛争の内容
婚姻から約37年、別居から約8年が経過していた事案です。
依頼者が約14年以上前に不貞をしていたため、申立人側から慰謝料請求を求められました。
財産分与での争点は、退職金の算出方法でした。
?交渉・調停・訴訟などの経過
申立人は慰謝料として200万円を請求してきました。
これに対して私どもは、不貞発覚後5年以上も夫婦が同居し、不貞とは別のトラブルで依頼者が家を出たことを理由に、不貞と離婚の因果関係がないと主張し、減額を要望しました。
なお、申立人側は、不貞以外にも精神的虐待を主張していたが、申立人の供述以外に証拠がなく、申立人の供述も信用できないと反論しました。
退職金については、申立人側が依頼者の独身時代における退職金の積み上げ部分まで分与を求めていました。
これに対して私どもは、財産分与は婚姻後から別居時までに形成した財産のみに限られることを主張し、減額を要望しました。
?本事例の結末
申立人との間で、慰謝料を100万円支払い、婚姻後から別居時までの退職金積み上げ部分を半分分与するという内容で、和解離婚をしました。
?本事例に学ぶこと
不貞と離婚の因果関係を否定することで、配偶者からの慰謝料請求を減額する方法を学びました。
退職金についてはそれ自体の金額が大きいので、婚姻後から別居時までの財産を分与するという財産分与の原則をきちんとあてはめて、支払う金額を必要最小限にとどめることが必要であることを改めて確認しました。