◆紛争の内容
夫の代理人から離婚を突き付けられました。
妻としては,正直なところ,離婚する気持ちはありましたが,一緒に使っていた預金や学資保険分は財産分与を受けたいと思っておりました。また,自身の財産の開示はしたくないとの意向でした。そこで,まずは協議を進め,迅速な離婚を求めることとし,弁護士を選任しました。
◆交渉・調停・訴訟などの経過
協議では,まずは婚姻費用の支払をしてもらうことにしました。もし支払っていただけないのであれば,速やかに婚姻費用を求める調停を申し立てる覚悟はしておりました。
同時に,離婚のための前提として,財産開示を求めました。
なお,この夫婦では,離婚の明確な原因が無かったことや,幼い子がいたこともあり,離婚しないという選択もあることは示しておりました。
交渉の結果,婚姻費用の支払もしてもらうことができ,また,財産開示はスムーズに進みました。
◆本事例の結末
当初の望みであった夫婦の預金,学資保険分を含め,100万円程度の財産分与を受ける内容で,離婚することができました。
また,離婚の条件については,公正証書を作成しました。
公正証書は,それ自体が「債務名義」といって,訴訟をするまでもなく,強制執行することができる「印籠」です。もし,財産の分与や金銭の支払い(養育費等)を求める側であれば,公正証書を作成することが重要となります。
◆本事例に学ぶこと
無理のない条件を呈示することが,スピーディに離婚するためには重要です。
また,公正証書の作成は,協議書の文言や日程調整に以外と時間を取られるものです。瑕疵のないものを作るためには,弁護士を代理人として立てた方が良いでしょう。
なお,公正証書の作成には,代理人が代わりに行うこともできるので,相手方とも顔を合わせなくて済みます。