紛争の内容
 20代の女性Aさんは、息子2人と結婚5年目の夫Bと平穏に暮らしていましたが、あるとき夫が不貞をしていることを知り、不貞発覚した夫は、不貞相手との同居を始めて、妻子を置いて家を出て行ってしまいました。Aさんは幼い子どもが2人もいたため、勤務が出来ず、夫からの生活費の支払いがなければ生活も出来ない状態でした。Aさんは、夫Bに「生活費を支払って欲しい、子どもが寂しがっているので家に戻ってきてほしい。」と伝えましたが、夫はこれに応じず、やむを得ずAさんはBに対し、婚姻費用分担請求調停を申し立てることにしました。そうしたところ、夫Bは逆にAさんに対し離婚調停を申立て、この2つの調停は同時に進行することになりました。Aさんは、夫Bとの関係をどうするかも含め、弊所にご相談にいらっしゃり、弁護士を代理人としてこの調停を進めることになりました。

交渉・調停・訴訟などの経過
 当初Bは、Bが不貞をして不貞相手と同居しているというのはAさんの勘違いであると主張しましたが、AさんはBの携帯に女性からのメールなどが届いていたことを証拠として、Bが不貞という離婚原因を作った有責配偶者であること、したがって離婚に応じることはできないことを強固に主張しました。また、Bの収入からすれば、Aさんと子どもらに対し、婚姻費用を十分に支払うべきだと主張しました。

本事例の結末
 弁護士にてAさんの主張は、訴訟でも通じる離婚を認められない事由になることを主張し、婚姻費用についてもBの従前の収入を証明し、Bの離婚請求を諦めさせ、子どもらの習い事なども含めた費用も含めた算定表よりもやや高めの婚姻費用の負担を認めさせることが出来ました。

本事例に学ぶこと
 不貞など、離婚の原因を作ってしまった側から、配偶者に対し離婚を請求するケースは少なからずあり、その場合には離婚を請求された側もそのとおり離婚に応じなくても良い場合も多いので、事情に応じて、交渉の材料とすることができると感じました。