紛争の内容
日々の不満の積み重なりから別居を開始したが、離婚条件が折り合わず離婚の合意ができないとのご相談でした。
当事者間の話合いの経過から協議では折り合いをつけることは難しいと判断し、代理人として離婚調停を申し立てることとしました。
交渉・調停・訴訟などの経過
調停では引き続き離婚の金銭的条件が争点となりました。
財産分与に関して、相手方は、婚前からの多額の貯蓄がある、子ども名義の預金は分与の対象から除く、将来の退職金の分与を求める、との主張をしており、態度が頑なであったため、調停も不成立となりました。
調停後、先方が慰謝料請求を追加した離婚訴訟を提起したため、訴訟において金銭的条件を争うことになりました。
第一審の裁判所は、①慰謝料は認められない、②婚前から貯蓄をしていたという客観的証拠がないためそれを財産分与で考慮することはしない、③子ども名義の預金の原資は両親の収入であるため財産分与の対象とする、④別居時点で自己都合退職した場合の退職金請求権は財産分与の対象とする、との判断をしました。
それに対し、双方が控訴しましたが、高等裁判所の判断はおおよそ第一審の判断を是認する内容でした。
本事例の結末
相手方は最終的に離婚条件として、慰謝料160万円及び財産分与900万円程度を請求していましたが、結論的には慰謝料0円、財産分与400万円程度まで減額することができました。
本事例に学ぶこと
離婚にあたり多額の請求をされることがありますが、法律構成や証拠の有無により請求金額が大幅に減額となる場合もあります。
他方、その点を深刻に争う場合には年単位の時間がかかることになりますので、双方の観点から考慮の上、離婚条件に合意するか否かを検討する必要があるかと思います。