紛争の内容
相談者の奥様は、中高生になる子が二人、夫と暮らしておりました。しかし、夫婦仲は悪く、会話もない日が続き、息苦しさに耐えられず、子らとともに別居を開始し、弁護士に依頼をしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
まずは協議から始めることも少なくありませんが、別居間もないことで婚姻費用の支払を見込めなかったこともあり、すぐに調停(離婚と婚姻費用)を提起し、その調停までの間に、できるだけ話合いを進めることにしました。

本事例の結末
調停では、まずは婚姻費用の取決めを進めました。夫婦である以上、収入の多い夫が生活費を支払うことは義務ですので、夫の「妻が勝手に出て行ったのに」という主張を退け、適正な金額の婚姻費用を定めることができました。
その上で、離婚については、財産分与が争点となり、特に不動産の分与が問題となりましたが、査定書を出し合い、中間値で合意した上、それぞれの財産を総合し、そこから住宅ローン分は差し引いた上で、不動産(妻子の別居により、夫が住んでいる)は夫がそのまま取得し、妻が330万円の代償金を受け取るということで、調停離婚することができました。

本事例に学ぶこと
調停では、中立的な調停委員やその背後には裁判官がおりますので、ある程度、法的主張が認められやすいのがメリットです。また、調停で合意すれば、公的な調停調書に残りますので、担保にもあります。一方で、調停は、1~2か月置きに開催されるので、少々、時間が掛かることがあります。本件では、問題ありませんでしたが、新型コロナウイルスの緊急事態宣言により、調停期日が取り消され、3~4か月も時間が空いてしまうという事態も生じております。
どのような手続で進めるべきかは、弁護士とよく相談しながら、それぞれのメリット、デメリットを考慮し、決めていくのが良いと思います。