紛争の内容
長年、家庭内別居状態にある熟年夫婦の妻からのご相談でした。
夫とは口も聞かない状態で10年前後が経過しておりました。
「夫との関係はきっぱりと清算して、残りの人生、自分の好きなように人生を歩みたい。」
そのような想いから、夫と離婚することを決意し、別々に生活をスタートするのと同時に、弊所の離婚専門チームの弁護士に代理人をご依頼いただきました。

交渉・調停・訴訟などの経過
調停では、当初は相手方が主席されないことが続き、訴訟提起を視野に入れる必要がありました。
しかし三度目以降は、真摯に対応していただくことができ、調停委員を通じて、話し合いを合理的に進めることができました。
本件では、家庭内別居をいつの時点で評価するのか、あるいは、財産分与の対象をどのように理解するのかといった争いが想定されました。
しかし、依頼者の一番の意向は、自宅に住み続けること、自宅の名義を妻に変更することでした。それ以外の財産については、たとえ存在するとしても、少しでも自分の時間を有効に使いたいので、紛争の長期化は避けたいという意向もお持ちでした。
そのため、不動産の財産分与を最優先に話合いを進めることになりました。

本事例の結末
結果的に、不動産の名義を夫→妻に移転することを内容とする調停が成立しました。
これにより、調停成立後、夫が何らかの手続をしなくても、妻側が調停調書さえあれば、登記変更の手続ができ、不動産を取得することができました。

本事例に学ぶこと
法的に相当と考えられる財産分与や解決イメージと、当事者が実際に求める(納得する)財産分与や解決イメージが異なる場合があります。
その場合には、弁護士としてはどうするでしょうか。
結論としては、法的に相当と考えられるイメージをしっかりと理解していただいた上で、当事者が求める解決イメージとの比較においてメリット・デメリットを説明し、最終的には、当事者の合理的な意思決定を優先することになります。
本件でも、裁判で争えば、少なくない財産分与(金銭)を請求できる可能性がありました。しかし、依頼者は、紛争を長引かせるのではなく、一刻も早く夫とは離婚をして縁を切り、安心できる環境を確保したいということに主眼がありました。
そのため、依頼者の意向を優先し、無事に調停段階で解決することができました。

この記事をご覧いただいている皆様が弁護士を探される場合に、何らかの参考になれば幸いです。
熟年離婚についてお悩みの方は、離婚問題を専門に扱う弁護士法人グリーンリーフ法律事務所まで、お気軽にご相談下さい。

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弁護士 時田 剛志