紛争の内容
有責配偶者と主張され離婚と慰謝料の請求を求められたAさん。住宅ローンは負担をする意向はあったものの慰謝料については交渉にならず、ご相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟などの経過
住宅ローンをみますと、相手方も債務の負担をする必要があるケースでした。そのため、こちらで相手の債務も負担することを約束し、慰謝料部分については相手の求める金額を減額する方向での交渉がスタートしました。
相手方は、希望の慰謝料額に固執し、自らも住宅ローンの債務者でありますがその部分の負担について何ら理解をしてもらえませんでした。また、相手方が希望の慰謝料額(数百万)とする理由も、Aさんが納得できるような理由ではありませんでした。

本事例の結末
そのため、こちらが住宅ローンを負担し続けることや、その負担の大変さを説明すること、調停等によっても住宅ローン債務者から抜けることは難しいことなどを詳しく説明し理解をしてもらい、相手方の希望する慰謝料額の半額で離婚をすることの合意をすることとなりました。

本事例に学ぶこと
本件では、住宅ローンを負担し慰謝料額を支払うという意味では、Aさんとしては金銭的な負担を負うこととはなりましたが、住宅に住み続けていることからすればそのローンの負担を住んでいる者が負うということになることは(家を一人で購入したと考えれば)あまりにも不当な負担とはいえません。そのため、ローンの負担をするということで、慰謝料の金額を減額し早期に離婚をすることができたことは、離婚をするまでの婚姻費用の支払いとの兼ね合いでは経済的支出は減ったと考えられました。
離婚の合意はできているが、条件が整わないという場合、冷静に根気よく説明することが必要になることと思います。お悩みの場合には、ぜひ一度ご相談ください。

記事監修 代表・弁護士 森田 茂夫