お子様のいるご家庭で離婚を考えるときは、親権はもちろんのこと、養育費についても検討する必要があります。
養育費とは、親が扶養義務に基づき負担する子どもの生活費のことです。
似たような意味の言葉に「婚姻費用」というものもありますが、こちらは、夫婦の間で負担する夫または妻の生活費のことです(子どもと一緒に暮らす場合には、子どもの生活費も含まれます。)。
養育費は、離婚したあとの子どもの生活のために支払われるお金ですから、子どもの将来のためにも誠実に対応することが望まれます。
さて、仮に養育費を支払うとして、その金額はどのように決まるのでしょうか?
まず、離婚のうち9割は、当事者同士で話し合って離婚届を提出する協議離婚となっていますから、養育費はその話し合いの中で決定されることとなります。
したがって、養育費はいくらでなくてはならない、という絶対の決まりはありません。
そうとはいえ、何の基準もなく金額の話をしてもまとまらないことが多いと思います。
そんなときに便利なのが、裁判所の公開している算定表です。
これは、夫婦それぞれの収入とお子様の人数・年齢から、おおよその養育費の目安を算定できる表となっています。弁護士や家庭裁判所も参考にしています。
したがって、協議離婚などでお互いに話し合って養育費を決める際は、この算定表を目安に、合意できるよう話し合いをしてみると良いと思われます。
参照:裁判所HP 「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
しかしながら、上記の算定表は、あくまで標準的な事案においておおよその目安を提供するものになっており、個別具体的な事情がある場合には、改めて細かく計算し直すこともあります。
例えば、以下のような事情があるときには、算定表通りとはせず、細かく計算をし直す場合があります。
・夫または妻が無収入、低収入である
→潜在的稼働能力があると認められる場合には、稼働能力に応じた平均的な年収を用いて計算することがある
・夫または妻には年金収入しかない
→勤めに出ている場合にかかる費用(職業費)がかかっていないので、その分について調整をする必要がある
・子が4人以上いる
→算定表は子が3人までの場合しか対応していないので、計算で養育費を求める必要がある
・養育費を支払う義務を負う者が再婚して新たに子が生まれた
→義務者の想定される生活費について調整を検討する
・子どもに持病や障害がある
→不合理でない範囲について加算を検討する
協議離婚や調停離婚で早期の離婚を目指す場合には、合意のしやすさをとって、あえて細かい計算をせず、算定表をもとに養育費を計算することも多くあります。
一方で、例えば譲れない事情がある場合などには、時間をかけてでも細かい計算をして、適切な金額で合意または審判・判決を得られるよう、主張をしていくことになります。
いずれにせよ、養育費についてどのような主張が適切か、あるいは可能なのかについては、難しい判断が必要な場合もありますので、ぜひ一度弁護士までご相談ください。グリーンリーフ法律事務所では、離婚専門チームの弁護士が、親身になって皆さまのご事情をお伺いいたします。
養育費について詳しくお聞きになりたい場合は、どうぞお気軽にご相談にいらっしゃってください。
以上