事案の内容
主婦Aさんは、会社員Bと20年の婚姻生活を送り、二人の男の子にも恵まれました。
しかし、Bはことあるごとに飲酒をしては、家族を罵ったり物を壊すなどの言動があり、母子ともに日々怯える生活を送っていました。
あるとき、遂にBが長男に暴力を振るいアザができるなどのケガを負わせたため、Aさんは警察に通報し、Bは警察に逮捕されました。
Bが逮捕されたままであると、勤務もままならなくなるため、Aさんは子どもとも話し合って、Bに対し厳罰を求めない旨の意見を検察に出し、Bは釈放されることになりました。
Bも自身の暴力性に気付き、代理人を立てて夫婦双方で話し合おうということになり、Aさんも弁護士を頼んで協議離婚を進めることにしました。
事案の経過(交渉・調停・訴訟など)
Bとの間で問題にあったのは、2人の息子の親権と養育費についてでした。
息子たちはいずれもBの言動に怯えていたことから、親権はAさんにすべきと争い、また息子たちはいずれも私立の中学、高校に通っていましたので、算定表以上の養育費を支払うよう求めることにしました。
本事例の結末
息子たちの意思は固く、BもAさんを親権者とすることに同意しました。
また、養育費については当初Bも「奨学金を借りればよい」などと主張して算定表通りしか払わないとしていたところ、B自身の代理人弁護士や、当職の説得を受け、また裁判所の実務の運用などを踏まえて、算定表で考慮されていない公立学校と私立学校の学費差額部分を、Bに上乗せして負担してもらうことになりました。
Bが息子に振るった暴力についても、慰謝料として数十万円の支払いをしてもらえることになり、無事Aさんは協議離婚をすることができました。
本事例に学ぶこと
養育費にしても慰謝料にしても、裁判所の実務の運用などは重要な説得材料となります。弁護士を当事者に就けることで、そのような実務の運用を踏まえた協議ができることもあると感じました。