紛争の内容
50代で夫の長年の不倫が発覚しました。
発覚の経緯は、妻が家事の一環として部屋掃除をしていた際に、偶然にも大量のラブレター等が判明したことでした。
夫を信頼していたあまり、不倫という裏切りに絶望した妻は、思わず家を飛び出して別居を開始しました。
しかし、どのように離婚を進めればよいか途方に暮れているとき、たまたま、離婚に強い弁護士を検索し、当事務所に相談にいらっしゃいました。

弊所では、女性の方の離婚事件を多数経験しておりますので、的確な見通しのもと、事件をお受けすることになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
まずは、当初は離婚をするべきかどうかについても揺れ動いている面があり、ひとまず別居後の生活を安定させるため、直ちに【婚姻費用分担請求調停】を申し立てました。一方で、【離婚調停】については申立を保留しました。離婚調停を申し立てなかったのは、相手の出方、考え方を知る必要があるということもありました。

調停の経緯としては、婚姻費用分担請求調停に呼応する形で、相手方は離婚調停を申し立てました。
2つの調停は併合され、同じ日に実施されることになりましたが、生活費の安定が優先でしたので、先に婚姻費用が成立し、離婚調停はある程度の時間を要しました。というのも、財産分与のポイントとしては、不動産をどうするか?特に、現金が少ない人が住んでいる場合に不動産を売却しなければ代償金(不動産は夫婦の共有財産ですが、その一人が取得する場合、他方に不動産の半分の価値分をお金で支払うこと)を払えないという問題がありました。もう一つは、株式をどうするか(上場企業の株式でしたが、売却の時期によっては上下するので悩みがありました)という問題がありました。
さらに、不貞行為が原因となっているため、慰謝料300万円を請求し、頑なに主張をしておりました。

本事例の結末
結局、不動産については売却することとなり、不動産売却益300万円、慰謝料300万円、預貯金約300万円・株式200万円分の上場企業株式(株式については、証券会社を解説し、株式数の半分を現物で分与してもらうことになりました)の合計1100万円分を受け取り、離婚することができました。

本事例に学ぶこと
財産分与の方法は、何もお金を支払うだけではありません。
不動産の場合には、どちらか一人が取得して代償金を支払うこともあれば、不動産を売却して売却益を分け合うこともあります。もし住宅ローンもあれば、その点も考慮しなければなりません。つまり、解決パターンはいくつかありますが、思うどおりになるとは限りませんので、弁護士の力の見せ所です。今回は、不動産については売却する方針を固め、二人が共同して媒介契約、売買契約を進め、売却益を分け合うという解決をとりました。ただし、本件では、売却益うち、相手が支払うべき慰謝料(今回は300万円を認めさせることができました)や預貯金の分与分を含め、そこからお金の支払を確保することができました。
また、株式についても、いつかの評価額を半分に割って、それを支払うという代償金の考え方もありますが、株式は日々、金額が変動し、別居してからしばらく協議をしていると、別居時とは大きく異なる評価額になることもあり、いつの時点の評価額を基準にするかが争いになることがあります。これを解決するのは、現物分割、つまり株式の権利をそのまま分与するという方法です。

十人十色の離婚事件があり、解決方法は様々です。
最善の解決を実現するために、ぜひ、離婚問題に強い弁護士にご相談ください。

弁護士 時田 剛志