40代の離婚、特に気を付けた方が良いことは?

40代のご夫婦であれば、ある程度の婚姻生活を重ね、夫婦の間の子も大きくなってきた、というケースも多いのではないでしょうか。子の成長等により生活リズムも変わり、夫婦関係に変化が起きるということも多い時期かもしれません。そのような時期の離婚で、特に気にするべき点はあるでしょうか。40代の方の離婚について、他の世代にはない特殊性や、どのようなことを検討すべきか説明します。

40代の離婚、どんなところに気を付ける?

40代の夫婦で特に問題となることが多い事項(子どもについて)

子の存在

40代で夫婦関係を振り返った時、特に問題となりそうな点としては、まずは子どもについての点が挙げられます。

法律上、離婚自体は夫婦の合意で可能ではあるものの、単独親権を定める日本においては、夫婦の間に未成年の子がいる場合、その子どもの親権者を決めなければ離婚ができません。

そこで、離婚を切り出すにしても、まずは親権の指定をする必要がある子どもがいるか、という点はポイントになります。親権の指定をする必要があるのは、未成年者、つまり18歳未満の子どもです。

養育費はどうなる?

もし夫婦の間に未成年者がいなかったとしても、その子どもが未成熟子(経済的に自立していない子ども)である場合は養育費の支払いについて問題になります。未成年か否かは「その者に法律行為などが単独で有効になしうるか」の問題であって、養育費の要否とは直ちにリンクしていません。

この点、「もううちには未成年の子はいないから、養育費は払わない」などと主張する人もいますが、これは養育費を決めなくていい理由にはなりません。

40代の夫婦の場合、未成熟子とはいえ、10代後半、あるいは20代前半となっている可能性も大きいので、養育費もこれらの年齢に合わせた生活指数に合わせて支払う必要があります。

生活指数というのは、裁判所が基準としている標準算定方式という養育費の設定方法の中に組み込まれた数字で、15歳未満の子については62、15歳以上の子については85としています(父母については、それぞれ100とします。)。

40代の夫婦で特に問題となることが多い事項(経済的な点について)

財産分与の問題

20代あるいは30代で婚姻したということであれば、夫婦生活は既に10年以上となっているということが多いでしょう。そうなれば、財産分与、つまり婚姻期間中に築いた財産の清算)についても対象となる財産の範囲や額が大きくなる可能性があります。ここでは、典型的に問題になりそうな項目を挙げます。

ア 会社の財形など

会社の勤務期間も長い、となれば会社で積み立てている財形も高額になることがあります。

イ 会社の退職金

上記アと同様、退職金は一般的には長く勤務すればするほど高額になりますし、さらに入社当初よりも在籍期間が長くなる分積み立てられる退職金額が大きくなる傾向にあります。最も、退職金は定年になってから初めてもらう、ということが多く、そうでなくても離婚の際には必ずしも自主退職しなければ現実化していない、といえるものです。必ず貰えると保障されているものでもないため、公務員などの場合を除いて、「退職金を得られる」という見込みがどの程度あるのかということが問題になる場合も多いです。とはいえ、退職金規程等が存在し、離婚時あるいは別居日という基準日において自己都合退職すればどの程度退職金がもらえるか、ということが計算できるのであれば、それに婚姻期間を割り付けて算定すること自体は可能です。

ウ 学資保険

学資保険も、夫婦の家計から保険料を支払っていれば財産分与の対象になります。満期を迎える前のものであれば、その解約返戻金の額が対象となります。

年金分割について

平成20年4月1日以後の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)については、特に夫婦間で合意をすることなく分割の請求をすることができます(3号分割制度)。

これに対して、それ以前の記録については、夫婦間で合意をして分割の手続をしなければならないため、40代の離婚の場合は3号分割でよいか、合意分割をようするか、ということに留意しなければなりません。

なお、仮に平成20年4月1日以前に婚姻している夫婦でも「必ず合意分割にしなければならない」というわけではなく、3号分割のみであれば平成20年4月1日以降の部分を対象に分割手続するということも可能です。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 相川 一ゑ
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