婚姻費または養育費の算定の際には、夫・妻それぞれの年収を用いて目安の計算をすることが多くあります。
この計算は、養育費・婚姻費用を支払う側の年収が高ければ、支払額はその分多くなるようなものとなっておりますが、中には、驚くべきことに、「養育費・婚姻費用を支払いたくない!」といって仕事を辞めてしまう人がいます。
無職(収入0)の場合、養育費・婚姻費用は支払わなくても良いのでしょうか?
上記のような場合、「養育費・婚姻費用を払いたくない」という不合理な理由で働いていないのですから、本当は働いてそれなりの収入を得ることができる状況です。
したがって、この人には潜在的な稼働能力があるとして、一定の収入があるものとして養育費・婚姻費用の分担額を算定することとなります。
この場合の「一定の収入」の考え方としては、仕事を辞めなかったらどれくらい貰えていたかといった過去の実績から収入を導く方法や、賃金センサス等の統計に基づいて収入を擬制する方法等が考えられます。
上記のような事情ではなくて、例えば病気・怪我や育児・介護等が理由で、仕事に就くことができず、無職(無収入)がやむを得ないような場合には、実際の収入額(ゼロ)を算定の根拠として用います。
以上から、無職の人が必ずしも養育費・婚姻費用を支払わなくて良いということにはならないことに注意が必要です。
相手方がこのような主張をしてきた際は、相手方に潜在的稼働能力がある旨を主張していくことになりますので、一度弁護士までご相談されることをお勧めいたします。