家事調停の実際③

家事調停では何とか合意に至るよう当事者の意見の調整を行いますが、すべての事件で合意がなされるわけではありません。

調整の結果、当事者の意見や条件の隔たりが埋まらない場合には合意はできませんので、調停は不成立となり終了します。

不成立となった後の処理については家事調停のテーマにより異なります。
裁判をすべきとされるものと自動的に審判(裁判官が資料をもとに判断を下す手続)に移行するものとがあります。

裁判をすべきとされる代表的なものは離婚調停です。
離婚調停が不成立となった場合、審判手続には移行しません。
離婚自体に争いがある場合は当然として、離婚自体は争いがないものの親権者に争いがある、財産分与に争いがある等の場合にも基本的には裁判をする必要があります。

他方、婚姻費用調停、子の監護者の指定・子の引渡し調停、離婚後の養育費調停、離婚後の財産分与調停等は調停不成立の場合、自動的に審判移行します。
審判ではいずれかの段階で裁判官による判断がなされるため裁判を経ずに結論が出ます。

家事調停を申し立てる際には仮に調停が成立しなかった場合どのような手続をとる必要があるか、その手続のためにはどの程度の時間や手間がかかるのか等を念頭に置いた上で戦略を立てていくことが重要になります。