法改正に伴う注意点

令和3年4月、民法・不動産登記法の見直しなどが含まれる法改正がありました。

改正法の下では、相続または遺贈により所有権を取得した相続人には、登記申請義務が課され、10万円以下の過料という罰則もあります。

これだけ聞くと、離婚事件とは一見関係がないようにも思われますが、DVで避難している方は、例えば「自分の親の相続が開始したことにより、いつの間にか自分以外の共同相続人が上記義務を守って法定相続について登記をし、自分の避難先住所が登記され、登記簿上で公開されている」という可能性が生じてきます。
この法定相続に関する登記は、共同相続人全員からする必要はなく、そのうちの一人から、単独でも可能なものですので、「自分が知らないうちに」登記がされているということもあります。

登記実務においては、このようなDV被害者が、自身の避難先住所を秘匿する形で登記手続きに対応するということも可能なようになっています。
自分が相続人となる相続がいつ発生するかは分かりませんから、このような法改正を知っておいて、いつの間にか自分の避難先住所がDV加害者にも知覚可能な状態にならぬよう、事前に注意をしておくことが必要です。