紛争の内容
自身の妊娠を契機に婚約をしたが、突如、相手方との連絡が取れなくなってしまった、この場合の相手方の法的な責任はどうなるかという旨のご相談でした。
相手方がご依頼者様の前から一方的に姿を消した以上、婚約に基づき婚姻をせよと求めることは難しいと思われ、ご依頼者様としても、相手方の対応を考えると、婚姻するということは考え難いということでしたので、婚約破棄に対する損害賠償請求事件として受任しました。
交渉・調停・訴訟などの経過
相手方に対して、慰謝料の支払いを求める内容証明郵便を発しましたが、返答がなかったため、やむを得ず、訴訟提起を行いました。
訴訟提起後、相手方に代理人がつき、一通り、主張・反論のやり取りを行ったところで、和解に向けての話合いが開始しました。
当初、相手方が提示してきた金額は納得のいくものでなかったため、複数回、和解金の増額に向けての和解期日が開かれました。
本事例の結末
そのようなやり取りを経て、和解金100万円というところで双方納得しかけたのですが、その直後に、相手方が職を失ってしまったため、話合いが振り出しに戻ってしまいました。
その後の話合いにおいて、相手方が親族に立替えをお願いするということになり、最終的には70万円の支払いで和解成立となりました。
本事例に学ぶこと
相手方にお金を支払ってもらうことを目的とする事件の場合、相手方の資力というものが重要になってきます。その当時の相手方の収入状況を前提に解決金額についての話し合いをすることになると思いますが、相手方の失職や転職等により収入状況が変更となった場合には、それを考慮に入れた話合いをせざるを得ません。
相手方の懐事情の変更により、当初予想していた金額よりも低額での解決になってしまう可能性があるということは念頭に置かれた方がよいと思われます。