?紛争の内容
ご依頼者は,別居中の妻から離婚調停を起こされ,慰謝料等300万円の支払いを求められておりました。ご依頼者は,当時,1年以上も子どもに会わせてもらえず,妻に対する不満を持たれていたのが特徴的でした。

?調停の経過
相談を受けた段階で,すでに離婚調停と婚姻費用分担調停とが裁判所に係属しており,妻には代理人弁護士が付いておりました。
私どもは,そもそも虐待などの事情もないのに子どもに会えない(合わせない)のは子の福祉にとって問題であると捉え,直ちに面会交流調停を申立てることを勧め,同申立てをしました。

?本事案の結末
離婚については,妻がモラルハラスメントを主張し,離婚慰謝料等300万円を請求しましたが,全面的に争った結果,慰謝料0円として納得していただきました
面会交流については,妻は当初,面会交流自体に否定的でしたが,調停期日間に面会交流を積み重ね,最終的には月2回(毎月特定の日),6時間の受渡型による面会交流が認められるなど,面会交流の審判では困難であろう充実した条項を定めることができました。

?本事案に学ぶこと
離婚事件では,離婚自体が争いとなることが多く,解決までの道のりは平坦ではありません。
仮に,双方が離婚については争わない場合であっても,親権,養育費,財産分与,慰謝料などの事項を取り決める必要があり,慎重な判断が求められます。
調停は,「話し合いの場」に過ぎませんが,とくに離婚事件の場合には暗黙のルールも多く存在します。
弁護士は,いわば交渉のプロですから,獲得目標を明確にした上で,どのような進め方をすれば,最終的に有利な結果(獲得目標)が得られるのかを考えて進めます
本事案では,離婚調停の最中,離婚条件の話合いと並行して,面会交流の実現と充実を強く訴えました。その結果,調査官による子の調査等も実施され,別居後における,子の生育環境を確認することができ,充実した父子交流の条件を勝ち取ることができました。