?紛争の内容
夫(40代自営業) 妻(40代無職) 子なし
夫より、「妻から10年以上に渡って、正当な理由なく性交渉を拒絶されており、離婚をしたい」旨の相談を受け、事件を受任しました。
夫婦間に子はなく、妻は数か月前に自宅を出て、実家に戻っている状態でした。

?交渉・調停・訴訟などの経過
離婚調停を申し立て、離婚原因としてセックスレスの主張をしたところ、妻の方からは、「夫には10年以上前から関係を持っている女性がいて、そのような夫と性交渉を持つことが、生理的にどうしてもできなかった」との反論がなされた。
夫は、当初、不貞の事実及び女性の存在を否定し、「何もないのだから、証拠だって絶対に出せない」と主張していましたが、調停が不調に終わり、双方が離婚訴訟を申し立てたところ、訴訟の中で、妻側の弁護士から「不貞の証拠もあるし、相手の女性の写真も出すことができる」との発言がありました。
これを受けて、急遽打ち合せをしたところ、夫は、「実は妻の言うとおりで、そういう女性がいます。怖くてこれまで認めることができませんでした。本当に申し訳ありません」と打ち明けてくれました。
幸い、妻は不貞の証拠をまだ提出していない段階であり、証拠を出されて離婚原因における夫の有責性を明確にされた挙句、慰謝料を請求されてしまうとこちらも大変な負担になるので、ざっくりと、「解決金」という形で1,000万円の支払いを提示し、穏便に和解離婚できないかを提案しました。

?本事例の結末
和解離婚成立
解決金(財産分与含む)という名目で夫から妻に1,000万円を支払うことで合意しました。

?本事例に学ぶこと
依頼者が弁護士に対して真実と異なることを告げるのはタブーで、本来なら嘘が判明した時点で弁護士はその人の代理人を辞任することもあり得ます。
本件では、夫に十分な貯蓄があり、妻の納得できる金額を用意できたことで、妻からの不貞慰謝料に関する追及を避けられ、早期解決に結びつきました。