?紛争の内容
夫が、2年ほど前から、ネットを通じて知り合った女性と交際するようになりました。
妻は、探偵業者に依頼するなどして、夫が女性の自宅で一晩を明かす様子など多数の証拠を入手済みでした。
妻の依頼を受け、相手方女性との間で慰謝料請求の交渉を開始しました。
(なお、夫婦間には幼い子供がおり、妻はこの問題が離婚に発展するのを望んでいなかったため、夫に対する請求は見送っています)

?交渉・調停・訴訟などの経過
弁護士からの通知書に対し、相手方女性は不貞の事実を認め、いったんは、和解金を支払って解決する旨の合意が調いそうでした。
しかし、弁護士介入後も、相手方女性が夫を自宅に泊めていたことが発覚しました。
妻は、調いかけていた合意を破棄し、訴訟提起に踏み切りました。

?本事例の結末
詳細な証拠が揃っていたこともあり、訴訟の早い段階で、裁判官から、妻寄りの和解案の提示を受けました。
さらに、こちらとしては、弁護士介入後も不貞行為をやめなかった相手方女性の行為の悪質性を主張するとともに、和解金を支払った女性が夫に求償すると夫婦共有財産から夫が支払いをする恐れがあり、そうなると結局、生計を同じくする妻が不利益を被ることになるため、夫に対する求償権を放棄するよう求めました。
最終的には、相手方女性が妻に対して和解金(100万円)を支払い、夫に対しては一切求償しない旨の和解を成立させて、終了となりました。

?本事例に学ぶこと
本件では、妻が、夫と女性との間に肉体関係があったことを示す証拠を多数保持していた(探偵の調査報告書、自身による写真撮影、メールやラインのやり取りの記録等)ため、交渉の段階でも、訴訟の段階でも、こちらの権利を強く主張することができました。
また、最終的に夫とは離婚しないという場合、本件のように、相手方女性から夫に対する求償権を放棄させることができれば、妻としては一番良い形の決着かと思います。