◆紛争の内容
依頼者である女性Aさんは、夫Bと離婚について話し合っていたところ、ある日突然一人娘をBに連れ去られてしまい、娘に会えない状態となってしまいました。Aさんは、Bと離婚することには同意していたものの、子どもの親権は譲れないと考えていましたので、速やかにBから子を返してもらい、離婚したいと求めました。
◆交渉・調停・訴訟などの経過
AさんはBに対し、メール等で子どもを返してほしいと求めましたが、Bは「子どもの親権は自分だ。子供は返さない。」などと譲らず、Aさんはやむなく弁護士を代理人として離婚調停と子の引き渡しの仮処分などを申立てました。
◆本事例の結末
これまでお子さんの養育は、ほぼAさんがしていたこともあり、裁判所の調停や審判の手続においては、Aさんの養育実績や、子に対する思いなどをまとめてお伝えし、裁判官や調査官にも、AさんのほうがBよりも監護権者・親権者としてふさわしいことを理解してもらいました。結果として、調査官の方も、「娘の養育を行ってきたのは主にAさんであり、BさんよりもAさんが養育することが望ましい」との意見を出したので、Bは自主的に子をAさんに引き渡すことに同意し、離婚もAさんを親権者とする形で成立させることができました。
◆本事例に学ぶこと
本件では、Aさんのほうが子どもの養育をしており、親権者としてふさわしいことを証明するために、お子さんの写真や、お子さんの面倒を見てきた記録などを細かく証拠として提出しました。このような証拠により、裁判所はBの主張が採用に値しないと判断できたものと思います。「子どもの監護権・親権」については難しい問題もありますが、裁判官の心証に影響を与えるような主張・立証が重要と感じました。