紛争の内容
依頼者である妻は、長年にわたる夫のモラルハラスメントの言動に耐えられず、心身を病んで家を出て別居を開始しました。夫とはまともなコミュニケーションをとることができず、弊所に依頼されるに至りました。

交渉・調停・訴訟等の経過
初めは、弁護士と夫との電話を中心とした交渉を重ねていきました。すると、夫は、次々と言い分・要求を変えていき、交渉がまとまるかと思いきや全て振出しに戻るということを繰り返していきました。

そんな中、夫の行動はエスカレートし、妻の関係者に接触して悪口を触れ回るようになりました。交渉は進まず、夫の行動がもはや損害賠償請求をするに相当なところに来ていたため、家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。

調停では、夫にも弁護士が就き、通常の交渉をすることができるかと期待していましたが、反対にどうにもならず、調停が不成立となりかけました。

本事例の結末
どうしても、何が何でも、早く離婚をしたい、ということが依頼者の目的であったため、夫に有利な条件を提示したところ、夫はそれを受け入れ、無事離婚することができました。

本事例に学ぶこと
モラルハラスメントは、悪質性の程度を客観的に明らかにすることが難しく、証拠資料も用意することが難しい類型事案です。そのため、相手方が離婚を拒んだ場合には、民法上の離婚事由に欠けるため、長期の争いを余儀なくされます。
全てを得るのではなく、どうしても譲れないものはなにか(本件では離婚すること)を考え、妥協することで、依頼者が本当に望む解決をすることができた事案です。

弁護士 平栗丈嗣