紛争の内容
婚姻前は穏やかと思っていた配偶者が婚姻を機に理不尽な要求を繰り返すようになった、自分が我慢すればよいと耐えてきたが、そのストレスが精神的不調となって表面化してきたため限界と考え、意を決して配偶者に離婚を切り出したところ、離婚などするわけないと一蹴されたため、弁護士の意見を聞きたいとのご相談でした。

当事者間では協議にならないと考えたため、まずは交渉事件の代理人として受任しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
住まいはご相談者様の名義でしたが、受任と同じタイミングで親類のもとに身を寄せ別居するということでしたので、精神的に限界であり離婚を求める旨及びそれに伴い住まいから退去してほしいという内容の通知を配偶者に対して送付しました。

配偶者からは、今更ながら、自分の行動は反省するから離婚したくない、戻ってきてほしいという内容の回答がありました。

それに対して、そのような段階は既に過ぎている、離婚の意向は変わらないので離婚方向で検討してほしいという通知を送付しましたが、同じような内容の回答が繰り返される状態でしたので、離婚調停の申立てを行いました。

本事例の結末
調停の場では、離婚は絶対条件であることに加え、自宅から退去するのであれば有利な離婚条件を提案するという主張を行い、協議を継続しました。

数回の調停の後、離婚及び自宅からの退去に応じる代わりに財産的な請求を受けないという条件であれば応じるという回答が配偶者からなされました。

ご相談者様は配偶者との関係性を一刻も早く断ちたいということが最優先の希望であったため、上記の条件で離婚調停成立となりました。

本事例に学ぶこと
離婚を求める場合、絶対に離婚には応じないという回答をされることが最も厄介です。なぜなら、配偶者がその回答をし続ける場合、離婚調停は不成立となり、離婚裁判における判断を受ける必要があるためです。

離婚裁判における判断を受けるまでには多くの時間、手間、弁護士に依頼する場合にはその費用がかかりますので、離婚条件を調整することで離婚には応じるという可能性があるのであれば、多少不利な条件であっても離婚を優先するという考え方はあり得ます。

配偶者の対応を見た上で、最優先の獲得目標のためには、どこまでの手続きやどのような離婚条件を許容するかを検討することが重要となります。

弁護士 吉田 竜二