紛争の内容
ご依頼者様から、配偶者(夫)との間の離婚のご依頼を受けました。
まず、示談交渉及び調停のご依頼を受けましたが、いずれも合意に至らず、当方が離婚訴訟を提起することとなりました。
ご依頼者様のご夫婦は、会社を経営されており、財産分与の対象となる財産(預金など)が高額(数億円以上)であったため、財産分与割合が争点となりました。
当方は、財産分与割合について5:5と主張し、夫側は、6:4と主張しました。
また、夫婦間には子が二人いたところ、当方は、養育費について、大学卒業(満22歳)までの支払いを主張したのに対し、夫側は、20歳までの支払いを主張したため、養育費の支払終期も主な争点となりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
財産分与割合について、会社において双方が行った業務の内容及び双方が行った家事の内容が問題となりました。
ご依頼者様は、会社の経理業務、人事業務や広告業務の大部分を行っていたため、それらについて、証拠と共に詳細かつ丁寧に主張しました。
養育費の支払終期について、当方は、双方当事者が大学卒業者であること、いずれも教育に高い関心があること、上の子は実際に大学に進学していること、下の子は成績優秀であり大学に進学する可能性が非常に高いことなどを証拠と共に詳細かつ丁寧に主張しました。
夫側は、財産分与割合を6:4とした裁判例や養育費の支払終期を20歳とした裁判例を引用し、主張を行いました。
これに対し、当方は、財産分与割合及び養育費の支払終期について、こちらの主張を裏付ける裁判例を引用するとともに、事実関係が異なるため先方が引用する裁判例が本件には適用されない等と反論を行いました。
本事例の結末
双方が主張を尽くした結果、当方の主張を認める判決(財産分与割合を5:5とし、相手方に対して1億円の支払いを命じ、養育費の支払終期を大学卒業までの満22歳までとするなどの内容)が出されました。
本事例に学ぶこと
夫婦間の財産が高額である場合や夫婦双方が会社の業務を行っている場合、財産分与割合が争点になることは珍しくありません。
そのような場合、実際に行った業務や家事の内容をそれを裏付ける証拠と共に詳細かつ丁寧に主張することが重要です。
また、こちらに有利な裁判例を引用したり、相手方が引用する裁判例に適切に反論することも重要です。
養育費についても、本件のように支払終期が争われることは珍しくありません。
そのような場合、夫婦双方の学歴、教育への関心の度合い、家庭での教育状況や子の学業成績、子の大学進学のの可能性などを主張することが重要です。
これらの対応を適切に行うことで、裁判所がこちらに有利な心証を抱き、こちらの主張に沿う判決を得ることができることを学びました。
弁護士 村本 拓哉
弁護士 権田 健一郎