紛争の内容
望まない離婚を求められ、やむなく配偶者の提示した離婚条件で離婚したが、その後、元配偶者から離婚条件を一方的に破棄されたというご相談でした。
まずは交渉事件の代理人として受任しました。
交渉・調停・訴訟などの経過
元配偶者本人に通知を送付したところ、事後的に離婚条件が不当なものと気づいた、もう開放してほしい等身勝手な回答が繰り返されたため、離婚条件の履行を求めるため裁判を起こすことにしました。
裁判では元配偶者にも代理人が就き、離婚条件は元配偶者に一方的に不利なもので無効であるとの主張がされました。
当方は離婚という結論を求めるために自身が設定した条件であり、それを今更無効であると主張することは不当である等反論を行いました。
ある程度双方の主張が出尽くした段階で和解協議となりました。
本事例の結末
将来にわたる合意であるため事情変更の可能性も考慮する必要があるとの裁判官の意見を踏まえ、当初の合意期間の3分の1に相当する期間に支払われるべき金員を元配偶者が一括で支払うとの内容で和解が成立しました。
本事例に学ぶこと
離婚後、元配偶者が一度は合意した離婚条件について異議を述べてくるケースがあります。
その際、元配偶者は、離婚時のやり取りについて事実と異なる主張をしてきたり、離婚協議書中の文言の解釈について当初説明していたものと異なる解釈を主張してきます。
離婚協議の状況を証拠化してあるというケースは少ないため、言った言わないの争いとなり、離婚協議書に記載されている文言から考えれば一般的にはこうなるという判断がされることがあり得ます。
将来にわたり金銭支払いを行うという離婚条件を設定する場合には離婚協議の状況を証拠化しておくことが重要と思われます。
弁護士 吉田竜二