紛争の内容
10年前に結婚したAさんは、夫Bの暴力と浪費に悩んでいました。また、Bは浮気をしているという疑いもありましたが、決定的な証拠はありませんでした。
一人息子のCはBに懐いていたため、Aさんは離婚について悩んでいたものの、浮気相手と思われる女性からBに手紙が届いたことから、Aさんはもはや耐え切れないと思い、Bに離婚を付きつけました。Bは自分に非がある自覚があったためか、自ら自宅を出て別居生活が始まったものの、養育費や財産分与、慰謝料については話し合いで折り合いがつかず、協議離婚はできませんでした。
Aさんは、当初自分で離婚調停を申し立てたところ、Bが弁護士を就け、離婚の調停でもなかなか折り合いがつかなさそうであったことから、途中から弁護士に依頼することにしました。
交渉・調停・訴訟などの経過
上記のとおり、途中から双方弁護士が就いて調停が進められることになったものの、新型コロナウイルスの影響もあり、調停はなかなか進みませんでした。
本事例の結末
当初、協議の際と同様に金銭の支払いをしぶっていたBでしたが、一人息子Cへの愛着はあったことから、Aさんが面会交流を柔軟に認めるという前提で、養育費や財産分与についてもAさんの求め通り支払うこととし、慰謝料についても分割ながら150万円を支払ってくれることになりました。結果として、Aさんが自分で離婚調停申立ててから1年以上が経過してしまったものの、調停が無事成立し、離婚・親権・養育費・財産分与・慰謝料についてAさんの希望内容で合意をすることができました。
本事例に学ぶこと
別居親あるいは非親権者と子との関係に問題がない場合、面会交流について柔軟さを示すことで、相手方が親権者に対する態度を軟化させることもあります。離婚は総合的な判断が重要であるので、調停で決着をつけるためには、「どこは譲る余地があるのか、どこは譲れないのか」という見極めが重要であると感じました。
弁護士 相川一ゑ