事案の概要(紛争の内容)
夫Bとのあいだに、3人の息子を持つAさんは、ある日夫Bから「好きな人ができたので離婚してほしい」などと求められました。Aさんは、夫の勝手な言い分に当初は納得できなかったものの、子どもはある程度大きくなっており、夫Bには住宅ローンをはじめ債務ばかりがあったことから、離婚条件次第では離婚するのもやむを得ないと考えるようになりました。息子が父親であるBとの生活を望んでいなかったこともあり、Aさんは離婚をし、子どもらと生活したいと考えるようになりました。とはいえ、夫Bには弁護士が就いてしまい、夫のいいように合意をまとめられてしまっては困ると考えたAさんは、自身も弁護士を立て、できる限りAさんや息子さんの経済状況なども影響がない形で協議離婚をすることとなりました。
交渉・調停・訴訟などの経過
夫Bには代理人弁護士が就いていましたが、こちらからBが有責配偶者であり、Bから離婚請求をしても訴訟内では請求棄却される見込みが大きいこと、また請求認容となるにしてもそれは相当時間などがかかることを前提とし、Aさんが求める親権者指定、養育費、財産分与、年金分割、面会交流、慰謝料の条件をBに譲歩するよう求めました。B側も、自身の有責性を認めていたことから、本来であれば積極財産よりも消極財産の方が多いAB夫婦では財産分与すべき財産はなかったものの、B名義の積極財産である学資保険などについては、いずれもAさんの名義にしてもらうことができました。また、慰謝料についても、訴訟における相場よりもやや高い金額で合意をすることができました。
本事例の結末
結局、上記離婚条件を公正証書にてまとめ、Aさんは希望する条件でBとの離婚を受け入れることとしました。現在は3人の息子と穏やかな生活を送れる状態になったとのことです。
本事例に学ぶこと
有責配偶者から離婚を求められ、離婚やむなしとは思っているものの、経済的な事情から離婚に応じることが難しいという方もおられるかもしれませんが、その場合には離婚条件として、有責配偶者に養育費・財産分与・慰謝料などの項目について譲歩をさせるということも検討すべきと感じました。