調停離婚とは、夫婦の話し合いがつかない場合に、家庭裁判所での調停によって離婚する方法です。
夫婦のどちらかが離婚に反対している場合や、離婚自体には合意しているが慰謝料や財産分与、子供の親権などの話し合いがつかない場合等です。
日本の制度では、離婚の場合、話し合いで合意に至らない場合、いきなり裁判を起こすのではなく、まず調停で解決することが義務づけられています。
従って、相手と話し合っても一向にまとまる気配がない、といった場合は調停を申し立てることになります。
ご自身のケースで、調停を申し立てた方が良いのかどうかは、弁護士に相談されると良いと思います。
調停離婚の手順
調停離婚の手順は下記のようになります。
1.家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
離婚調停は、相手の住所地の家庭裁判所に、「夫婦関係調停申立書」を提出して、申し立てます。調停では、この申立書に記載された事情、金額をもとに話し合いが行われます。
2.呼び出し状が送達される
申し立てが受理されると、家庭裁判所から当事者双方が呼び出されます。通常1ヶ月~1ヶ月半
の間に第1回目の調停期日が入ります。特別な理由なしに出頭しないと5万円以下の過料となり
ます。
3.第1回目調停
調停には、真相の究明や人間関係調整の必要性から、当事者本人が出頭しなければなりませんが、やむを得ない事情がある場合には、弁護士のみの出頭も認められています。調停では、まず当事者の一方が調停室に入り、2名の調停委員から事情を聞かれます。その後、入れ替わりにもう一方の当事者が部屋に入って、同じように事情を説明し、これらを交互に繰り返します。申立人と相手方の待合室は別々に設けられているので、顔を合わせることもありません。1回の調停にかかる時間は、2~3時間です。
4.数回の調停
調停委員は2~3回調停を開いてみて、相手が一度も出頭しなかった場合は、不調として調停を終わらせます。相手が出頭する場合、約1ヶ月間隔で話し合いを行っていきます。
5.最終調停
最終調停では必ず当事者本人の出頭が求められ、弁護士等による代理人のみの出頭は認められません。これは、離婚という身分上極めて重要なことを決するためです。この時は裁判官が入室し、当事者双方の前で離婚の意思や条件に間違いがないか確認します。通常半年~1年程度で終了するケースが多いです。
6.調停調書の作成
夫婦が合意に達すると調停調書が作成されます。調停調書には離婚することに合意したこと、親権者やお金に関する事項が記載されます。調停で離婚が成立した場合、調停調書に離婚する旨が記載されたとき(調停調書の作成日)に離婚が成立します。
7.調停調書の提出
調停成立後10日以内に、調停を申し立てた側が、調停調書の謄本を添えて、離婚届(相手方、証人の署名押印は必要なし)を、夫婦の本籍地あるいは届出人の市区町村役場(この場合は、戸籍謄本が必要)へ提出します。
調停離婚の注意点
離婚調停に慣れている、という人は稀ですので 、戸惑われることも多いと思います。また、専門用語が良く分からない、という相談も多く頂きます。
離婚調停が思うように進まない、調停委員が話をよく聞いてくれない、自分に不利になっているのではないか、と思われるようなことがあれば、弁護士に相談した方が良いと思います。
よく分からないまま、なんとなく進んでいって、気がついたら、自分が不利になっていた、というのが一番良くないパターンです。
また、相手方に弁護士がついているような場合は、こちらも弁護士をつけた方が良いでしょう。
当事務所では、調停離婚の場合に、代理人になって調停に同行することも、調停には同席しないまでも継続的にアドバイスさせて頂くことも、業務として行っています。お困りのことや不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。