民法770条1項一号から四号にあたらなくても、「婚姻関係が破たんして回復の見込みがない場合」は、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして離婚が認められます。
これにあたる場合としては、下記のようなものがあげられます。
婚姻を継続しがたい重大な事由とは
① 性格の不一致
正確の不一致はどの夫婦でも多かれ少なかれ認められるものですので、離婚原因として認められるためには、性格の不一致によって婚姻関係が破たんしているという程度のものである必要があります。東京地裁昭和59年10月17日判決は、「夫は人一倍几帳面、清潔好きで、家庭内の乱雑に耐えられないのに対して、妻は家事処理能力が劣るという双方の生活・生活習慣の違いがあり、争いが生じると夫はしつこく口うるさく、妻は融通がきかず夫の気持ちを逆なでする言動をして争いがエスカレートするということが繰り返されてきた」という場合に離婚を認めています。
② ドメスティックバイオレンス(DV)
夫婦の一方が他方に暴力を振るい、顔などにあざができる、顔が膨れ上がるなどの状態がくり返された場合、離婚が認められる可能性があります。
③ 性的不能、性的異常
夫が性的に不能である、ポルノ雑誌・ポルノビデオばかりに興味を示し、妻との性交渉を拒否する、SMのような行為を強制するなどの事情があり、その改善が期待できず、夫婦関係が破たんして回復に見込みがないという場合には、離婚が認める可能性があります。
④ 宗教活動
夫婦の一方が、その信仰に基づく宗教活動に専念して相手の生活や気持ちをまったく無視し、夫婦関係が破たんして回復の見込みがないという場合には、離婚が認められる可能性があります。
以上の他にも、ギャンブル・浪費、家事・育児にまったく協力しない、他方配偶者の親族との不和なども、事情によって「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる場合があります。