夫または妻が公務員(教職員)の場合の離婚について、財産分与を中心に解説しています。
公務員(教職員)の収入について
パートナーが小学校、中学校等の先生であり、公務員(教職員)の場合、一般的に年収は年功序列で高くなり、収入が安定しているのが特徴です。
また、50代に突入すると、年収は800万円を超えることも少なくありません。
さらに、退職金が支給される蓋然性も高いので、婚姻期間が長く、定年退職(60歳)の時期がある程度近付いている場合には、退職金に対する財産分与の請求が期待できるでしょう。
公務員は、地位が安定しており、転職するケースも多くないので、財産分与を取り決めた場合、実際に支払ってもらえる可能性も高いと考えられ、万一、養育費などの支払いを怠った場合には、安定する収入を差し押さえるなどの方法で、回収することができると考えられます。
公務員(教職員)の方がお持ちの財産の特徴について
公務員(教職員)の財産の特徴としては、以下のようなものが考えられます。
いずれも、婚姻期間中に築いた財産であれば、財産分与の対象となる可能性があります。
預貯金
共済組合の預貯金は、一般的な口座よりも利率が高い特徴があるため、共済組合の貯金も財産分与の対象であることを忘れないようにしなければいけません。
投資信託、国債
計画的に預金しているケースも多く、また、投資信託をしている方が少なくなりませんので、投資信託についても忘れないようにしてください。
また、国債を保有していることも少なくありません。
教職員共済保険等の保険の解約返戻金
終身生命共済等の保険の解約返戻金がある場合もあります。
退職金
定年退職の場合、その平均額は、約2300万円に及ぶと言われており、一般企業の平均と比較しても大きく上回る金額です。
また、退職前であっても、一般企業のように倒産するようなリスクはないので、退職金が支給される蓋然性が高い職業です。
従って、退職前であったとしても、退職金見込額をきちんと把握する必要があるでしょう。
裁判例について
離婚に伴う財産分与は、夫婦の共有財産を2分の1ずつに分けるのが原則です。
ところで、退職金については、金額が大きいことも相まって、その退職時期が先のケースでは、争いになることもあります。
この点、国家公務員の事案ですが、勤続年数27年の夫が、9年後に定年退職するという事案で、裁判所は、夫に対し、「国家公務員退職手当法に基づく退職手当の支給を受けたとき、550万円を支払え」と命じた裁判例があります(名古屋高裁平成12年12月20日)。
このように、定年退職まで時間がある場合でもあきらめず、弁護士会照会や裁判所の調査嘱託という方法により、退職金見込額を把握するべきです。
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以上のとおり、教職員との離婚に際しては、一般的な家庭の離婚とは異なる特殊な事情や法的な問題がたくさんあります。
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